常楽寺

常楽寺

常楽寺の縁起

常楽寺

常楽寺は北向観音堂が建立された天長2年(825年)、三楽寺の一つとして建立されました。

北向観音の本坊であり、ご本尊は『妙観察智弥陀如来(みょうかんざっちみだにょらい)』で全国的にも珍しい阿弥陀様です。

その後、正応5年(1292年)4月、信乃国(信濃国)塩田別所常楽寺で書写された と記述のある「十不二門文心解)」が金沢文庫に遺されており、また、本堂裏の北向観音の霊像が出現した場所には、弘長2年(1262年)の刻銘のある石造多宝塔(重文)が保存されていて、鎌倉時代に天台教学の拠点として大いに栄えた常楽寺の歴史を証する貴重な文化財となっています。

長楽寺、安楽寺、常楽寺を指して三楽寺といいます。長楽寺は焼失し北向観音堂の参道入口に碑を遺すのみです。)

階段を上がって最初に目に飛び込んでくるのは茅葺の本堂です。平成15年に修復工事を行った際、建立当時の建築様式に改めました。

堂内には当時そのままの色彩を残す格天井が美しく、又、ご本尊の妙観察智弥陀如来は、阿弥陀如来には珍しい宝冠を頂く阿弥陀様です。

常楽寺

常楽寺境内

石造多宝塔(国重要文化財)
石造多宝塔(重文)

北向観世音様が出現した所で、高さ2m85cmの安山岩で出来ており国の重要文化財に指定されています。

多宝塔というのは、上下二層の屋根がある塔です。下の屋根の上に饅頭形という丸いふくらみがあって、その上にまるい塔身があり、二つの屋根がその上にのっています。

なお、その上に相輪という柱のようなものが立っています。

石造多層塔(上田市指定文化財)
石造多層塔(上田市指定文化財)

多宝塔の右側にある五重の多層塔。かつて北向観音堂の西側付近から出土したものですが、40年あまり他県にあったものを持ち主に懇請し故郷へ帰りました。

名付けて「里帰りの多層塔」とも言われております。

御舟(みふね)の松
御舟(みふね)の松

樹齢350年と言われています。少し離れて眺めますと、宝船の形にみえてきます。この宝船で阿弥陀様が極楽浄土へとお連れします。

石造六地蔵
石造六地蔵

本堂の左側面の多宝塔へ通じる参道のわきに六地蔵が鎮座しています。

六地蔵とは、人間は地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の六道のいづれかを輪廻するという思想から生まれたもので、その六道の辻に居って導くのが六地蔵といわれています。

七色もみじ
七色もみじ

常楽寺には紅葉があちこちに植わっておりますが、その中でも七色を発するような美しい紅葉があります。

秋の行楽シーズンには是非お越しください。一見の価値があります。

キャ・カ・ラ・バアの碑(別所温泉仁王道=常楽寺表参道)
キャ・カ・ラ・バアの碑

高さ170cm、幅70cmの自然石にキャ・カ・ラ・バアの梵字(ぼんじ=インドで使用されるブラーフミー系文字の漢訳名)が陰刻されています。

古来インドでは宇宙の成立は空・風・火・水・地の五大によるとする思想があり、これが仏教に取り入れられ五輪塔が供養塔として成立したもので、この五字が梵字で刻まれた石碑です。

六十六部廻国供養塔(別所温泉仁王道=常楽寺表参道)
六十六部廻国供養塔

キャ・カ・ラ・バアの碑の左側にあり高さ157cm、幅35cmの石碑です。

川辺村(現上田市)の源心上人が六十六ヶ国の霊地に納める目的で諸国の社寺を遍歴する巡礼、すなわち廻国六十六部巡礼が結願したので、因縁のある常楽寺に奉納した供養塔です。

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